受変電設備の実務

三相電動機の欠相・逆相・過負荷保護|3Eリレーとサーマル

結論:3Eという名称ではなく、異常の発生点から電動機停止・再始動禁止までを一つの保護系で設計する

三相電動機の保護は、サーマルリレーの整定値だけでは成立しません。過負荷、拘束、欠相、逆相、電圧不平衡、地絡、短絡を分け、どのセンサが何を検出し、どの接点がどの接触器・遮断器を開き、停止後に何を記録して復旧を許可するかを追います。

この記事は、誘導電動機の原理始動方式の比較を繰り返すものではありません。1E・2E・3Eの呼称を設備固有の検出要素、時間特性、停止経路、試験・復旧状態へ落とします。

この記事は運転中の盤内測定・相入替え・保護解除・強制再始動の手順ではありません

欠相、拘束、絶縁劣化、機械固着が疑われる電動機を原因未確認で再始動すると、感電、火災、巻線焼損、機械破損、人身事故につながります。実設備では、有資格者が回路図、銘板、負荷仕様、メーカー保護特性、保安規程、ロックアウト・復旧手順を優先してください。

保護系を7層で読む|電源・配線・検出・判定・停止・機械・復旧

『3Eリレーがある』だけでは、電動機が何から守られるか分かりません。電源側のヒューズ・MCCB、配線、電流・電圧センサ、保護リレー、接触器、機械負荷、復旧許可を七つの層へ分けます。

検出器が動作しても、接触器溶着、制御電源喪失、バイパス回路、PLC論理、手動運転経路によって停止できない場合があります。逆に上位遮断器が先に動けば、事故回路は止まっても保護選択が不成立です。入力から停止確認までを同じ回路番号で結びます。

区分 確認する事実 完了・判断の証拠
電源 電圧、相順、欠相、不平衡、電源切替 入力端子の状態
配線 MCCB、ヒューズ、接触器、端子、ケーブル 欠相・短絡の発生境界
検出 電流、電圧、相順、温度、漏れ 検出範囲とセンサ位置
判定 1E/2E/3E、時限、トリップクラス 設定値と特性曲線
停止 接点、PLC、接触器、遮断器 停止完了と再始動禁止
機械 負荷トルク、慣性、固着、冷却 電気原因との分離
復旧 原因、修復、試験、承認 再始動可能状態

異常を7種類に分ける|過負荷・拘束・欠相・逆相・不平衡・短絡・地絡

過負荷は負荷が定格を超えて続く状態、拘束は回転子が回れず大電流が続く状態です。欠相は一相の電源・配線が失われる状態、逆相は相順が変わる状態、電圧不平衡は三相電圧の大きさがそろわない状態です。似た発熱症状でも検出量と時間が違います。

短絡・地絡は大電流・漏れ電流を高速に除去する役割が中心で、サーマルリレーだけへ任せません。過負荷保護と短絡保護の境界、地絡検出、接触器の短絡協調を一つの保護表へ置きます。

区分 確認する事実 完了・判断の証拠
過負荷 三相電流の継続増加、温度 熱モデルと時間
拘束 始動大電流が加速せず継続 始動時間・速度・停止
欠相 一相喪失、他相電流増加 欠相位置と検出範囲
逆相 相順反転、逆回転 相順検出と回転確認
不平衡 相電圧・相電流の偏り 負相分・熱影響
短絡 相間事故、大電流 MCCB・ヒューズの遮断
地絡 対地漏れ、外箱電位 漏電・接地保護

1E・2E・3Eを機能表へ直す|製品名だけで保護要素を断定しない

1E・2E・3Eは、一般に過負荷、欠相、逆相等の保護要素数を表す呼び方として使われますが、検出方式、対象異常、復帰方式、出力接点は製品ごとに確認します。同じ『3E』でも電流検出形、電圧検出形、CT外付け、モータ保護リレー内蔵等で範囲が違います。

2素子サーマル、3素子サーマル、電子式保護リレーを相数だけで優劣判定しません。欠相位置、Y/Δ結線、接触器の主接点、ヒューズ、バイパス経路によって、各素子に流れる電流と検出感度が変わります。メーカーの接続図と保護特性を回路図へ重ねます。

保護要素が多くても、モータ巻線温度、軸受、冷却喪失、機械振動まで自動的に保護できるとは限りません。必要なセンサを設備リスクから追加します。

欠相・不平衡を数値で追う|電圧・電流・負相分を同時刻で残す

運転中の欠相では、電動機が惰性・負荷トルクで回り続け、残る相の電流が増える場合があります。上流で一相が欠けたのか、ヒューズ、接触器主接点、端子、ケーブル、巻線で開路したのかにより、測定位置の電圧・電流が変わります。

電圧不平衡が小さく見えても、電動機内部の負相電流が発熱を増やすことがあります。三相の線間電圧、各相電流、負荷率、巻線温度、振動を同時刻で比較し、平均値だけで健全判定しません。JEM-TR 146等の適用資料は、対象電動機・運転条件と組にして使います。

区分 確認する事実 完了・判断の証拠
受電側 三線間電圧、相順、電源切替 電源起因の有無
遮断器後 各相電圧・電流、ヒューズ 主回路上流の境界
接触器後 主接点電圧降下、各相電流 接点・端子の境界
電動機端子 端子電圧、巻線連続性 ケーブル・巻線の境界
機械状態 速度、負荷、温度、振動 電気異常の影響

始動と熱特性を重ねる|整定電流・トリップクラス・加速時間を一組にする

過負荷整定は、銘板電流へ一律の百分率を掛けて終わりではありません。電動機定格、サービスファクタ、周囲温度、冷却方式、負荷率、反復始動、始動方式、保護リレーの取付位置を確認し、メーカーの適用範囲で設定します。

トリップクラスは、規定の過電流に対する動作時間特性の区分です。始動時間より短すぎれば正常始動で不要動作し、長すぎれば拘束・過負荷時に巻線を守れません。冷状態・熱状態、連続始動、再始動待ち時間を電動機熱耐量と重ねます。

Y-Δ、ソフトスタータ、インバータでは、リレー位置と実際に流れる電流が違う場合があります。始動器の方式と保護リレーの整定基準を一組で保存します。

区分 確認する事実 完了・判断の証拠
銘板 電圧、電流、出力、周波数、時間定格 対象モータの識別
始動 方式、電流、時間、反復回数 正常始動曲線
熱耐量 冷/熱状態、拘束、過負荷 許容時間との余裕
保護特性 整定、クラス、欠相感度、復帰 リレー曲線・設定表
停止 接触器開放、惰走、制動、再始動 危険動作の終端

インバータ駆動の境界|入力側・直流部・出力側・モータを分ける

インバータ入力側の欠相、直流母線異常、出力側欠相、モータ巻線異常は、同じ保護では検出できません。入力MCCB、インバータ内蔵保護、出力側センサ、モータ温度センサの守備範囲を分けます。

PWM出力では、一般の電流計・サーマルリレーが想定する波形や周波数と異なります。インバータ出力側へ機器を追加するときは、メーカーが許容する接続、測定器、漏れ電流、高周波、長配線、端子サージ、低速冷却を確認します。

商用バイパスがある場合、インバータ運転時と商用運転時で保護経路が変わります。各運転モードの相順、整定、接触器インターロック、再始動条件を別状態にします。VFD選定はインバータの選び方へ分けます。

停止回路を閉じる|検出接点から接触器・遮断器・機械停止まで追う

保護リレーの出力接点が開いても、制御回路に自己保持、PLC、遠方運転、予備接触器、バイパスがあると停止経路は一つではありません。展開接続図で、トリップ接点、コイル、補助接点、停止確認、警報、再始動禁止を追います。

接触器が開いても、回転体は惰走し、逆止弁・ブレーキ・機械インターロックが必要な設備があります。電気的停止と危険動作の終息を分け、保護動作後の立入・復旧許可条件へ反映します。

短絡時のMCCB・ヒューズと接触器の協調は、試験済み組合せ、使用電圧、推定短絡電流、保護装置を一組で保存します。接触器選定は電磁接触器・電磁開閉器の選び方へ接続します。

区分 確認する事実 完了・判断の証拠
検出 保護要素、設定、トリップ表示 原因要素の保持
判定出力 a/b接点、ラッチ、制御電源 接点動作・復帰
制御 PLC、自己保持、遠方、バイパス 全運転モードの停止
主回路 接触器・遮断器の開放、溶着 各相の無電流
機械 惰走、ブレーキ、弁、危険動作 安全停止確認
再始動 手動復帰、許可、原因修復 意図しない再起動防止

トリップ後を8状態で切り分ける|表示保存から原因修復まで再投入しない

トリップ時は、電流整定を上げる前に、時刻、保護表示、三相電圧・電流、運転モード、始動からの経過、負荷・弁・ダンパ状態、温度・振動、同時警報を保存します。停止後にリセットすると消える情報を最初に確保します。

電気側が正常でも、ポンプ閉塞、軸受固着、ベルト異常、換気不良等で過負荷になります。反対に機械を分離して軽く回っても、欠相・接触不良・電圧不平衡が残る場合があります。電源、配線、保護、電動機、機械を境界ごとに分けます。

区分 確認する事実 完了・判断の証拠
受信 時刻、表示、停止範囲 イベントID
安全 煙、異臭、過熱、機械危険 立入・隔離判断
電源 三線間電圧、相順、電源状態 上流異常の有無
主回路 ヒューズ、接点、端子、ケーブル 欠相・接触不良
保護 設定、履歴、センサ、制御 誤動作・正動作
電動機 巻線、絶縁、温度、軸受 本体健全性
機械 負荷、固着、弁、冷却 機械原因
修復 原因除去、試験、承認 再始動許可

試験と点検|単体動作・停止連動・再始動禁止を別の結果にする

テストボタンや単体注入でリレーが動作しても、実回路のセンサ、制御接点、接触器、警報、停止確認まで証明したことにはなりません。センサ入力、保護判定、出力接点、主回路停止、機械停止、表示・通報を段階別に試験します。

試験では、設定値、試験入力、動作時間、表示、出力接点、停止機器、復帰方式、試験後設定を記録します。自動復帰は遠方無人設備で意図しない再始動につながるため、運転方式、再始動制御、安全要求と組にして判断します。

保護試験後は、試験線・短絡片・強制信号の撤去、設定復元、運転モード、警報リセット、主回路・制御回路の復旧を確認します。保護協調全体はMCCBの選び方へつなぎます。

変更と復旧を閉じる|モータ・負荷・始動器・保護の版をそろえる

電動機交換時に同じkWでも、定格電流、効率、始動電流、熱特性、回転方向、温度センサが異なる場合があります。ポンプ羽根、減速機、VFD、接触器、ケーブルの変更も保護整定へ影響します。変更前後の銘板、回路図、設定、試験を同じ変更番号で結びます。

復旧は、原因を除去した、絶縁・巻線・機械を確認した、保護設定を承認した、無負荷・実負荷試験をした、回転方向を確認した、安全カバーを戻した、監視を引き渡した、という状態へ分けます。

『再始動できた』は健全性の証明ではありません。暫定運転では監視項目、負荷上限、期限、停止条件、責任者を明記し、通常復旧と区別します。制御回路の読み方は自己保持回路へ戻ります。

公式資料・一次情報

内容確認日:2026年9月1日。対象設備の承認図、現行取扱説明書、契約・運用基準を優先してください。

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原理・始動 変圧器と電動機の仕組み電動機の始動方式 電流、トルク、加速
制御 自己保持回路電磁接触器の選び方 停止回路、接触器、再始動
インバータ インバータの選び方 入力・出力保護、低速冷却
配線保護 MCCBの選び方漏電遮断器の選び方 短絡、過負荷、地絡
電源 非常用発電機の容量選定中性線欠相 始動時電源、欠相事故
試験・記録 保護協調曲線警報回路 動作時間、表示、復旧
資格太郎

この記事を書いた人:資格太郎電気工事士の独学合格を目指して学習中。経済産業省、JEMA、オムロン、三菱電機、試験センターの一次資料を照合し、3Eの名称だけでなく、異常発生点・停止経路・再始動許可までつながるよう編集しています。運営者情報と編集方針

広告・検証方針

この記事内にモータ保護リレー、サーマルリレー、インバータ、接触器、工事・点検サービスのアフィリエイトリンクは掲載していません。2026年9月1日に現行技術基準、JEMA、メーカー技術資料へ再照合しました。保護層、事故状態、復旧記録の構成は当サイトのオリジナルで、実設備の整定・試験・安全手順を代替しません。

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