受変電設備の基礎

力率改善と高圧進相コンデンサ|容量kvarの計算と直列リアクトル6%・第5高調波

この記事を読み終えると、力率改善に必要な進相コンデンサの容量〔kvar〕を Q = P(tanθ1 − tanθ2) で計算し、コンデンサにつながる直列リアクトルと放電装置の役割を、単線結線図の上で説明できるようになります。

第一種電気工事士の学科では、コンデンサの容量の計算と、直列リアクトルの役割・リアクタンス(6%)が繰り返し出ています。高調波の発生源や、平均力率を求める計器が問われた回もあります。判断の軸は2つです。①遅れの無効電力をどれだけ打ち消すか(容量の計算)、②コンデンサにつなぐ機器が何を防ぐか(高調波・突入電流・残留電荷)。この記事は試験の学習用で、実際の設備の容量や機器を決めるものではありません。

力率が低いと、同じ電力を送るのに電流が増える(例題1)

交流の電力は3つに分けて考えます。仕事をする有効電力 P〔kW〕、電源と負荷の間を行き来するだけの無効電力 Q〔kvar〕、2つを合わせた皮相電力 S〔kV·A〕です。力率は、皮相電力のうち有効電力が占める割合(cosθ = P ÷ S)です。力率そのものの考え方は交流回路の基礎で扱っています。

図1 有効電力・無効電力・皮相電力は、直角三角形になる

例題1の負荷(300kW・遅れ力率0.6)です。矢印の長さは、それぞれの大きさに比例しています。

有効電力 300kWθ無効電力(遅れ)400kvar皮相電力500kV·A①②③
図1で押さえるところ:電線に流れる電流を決めるのは、③の皮相電力です。②が大きいほど③が長くなり、電流が増えます。

図1の①の有効電力と、図1の②の無効電力は、90度ずれた向きに描きます。2つを直角にはさむ斜めの矢印が、図1の③の皮相電力です。直角三角形なので、S = √(P² + Q²) が成り立ちます。電動機のようにコイルを持つ負荷は、電流が電圧より遅れるので、無効電力は「遅れ」です。

例題1 線間電圧6,600Vの三相回路に、300kW・遅れ力率0.6の負荷があります。皮相電力・無効電力・線電流を求めます。

皮相電力 S = 300kW ÷ 0.6 = 500kV·A
無効電力 Q = √(500² − 300²) = √160,000 = 400kvar
線電流 I = 500,000V·A ÷ (√3 × 6,600V) ≒ 43.7A
同じ300kWでも、力率が1なら 300,000V·A ÷ (√3 × 6,600V) ≒ 26.2A で済みます。

線電流を求める式で割られるのは、有効電力ではなく皮相電力です。三相の皮相電力が S = √3 × V × I だからで、力率が低いほど、同じ有効電力を送るための電流が増えます。電流が増えると、線路や変圧器の損失と電圧降下が増え、設備が送れる有効電力の余裕が減ります。

試験では、線路の電力損失を表す式として P²r ÷ (V² cos²φ) が正解になっています。損失は力率の2乗に反比例します。また、有効電力と無効電力は、それぞれ別々に足してから三角形で合成します。皮相電力どうしをそのまま足すことはできません。

進相コンデンサは、遅れの無効電力を進みで打ち消す

コンデンサに流れる電流は、電圧より90度進みます。負荷の遅れの無効電力とは向きが逆なので、負荷と並列にコンデンサをつなぐと、2つは打ち消し合います。この目的で使うコンデンサが進相コンデンサ(SC)です。

図2 コンデンサの進みの無効電力が、負荷の遅れの無効電力を打ち消す

例題2の数値です。下向きが遅れ、上向きが進みの無効電力〔kvar〕で、破線は改善する前の皮相電力です。

有効電力 300kW遅れ 400進み 175残り 225500kV·A375kV·A①②③④
図2の読み方:コンデンサが変えるのは縦の長さ(無効電力)だけです。横の長さ(有効電力)は変わりません。

図2の①が負荷の遅れの無効電力、図2の②がコンデンサの進みの無効電力です。電源が受け持つのは、図2の③の残りだけになります。有効電力は変わらないので、図2の④のように皮相電力が小さくなり、力率は 300 ÷ 375 = 0.8 へ上がります。

絶縁耐力試験の補償リアクトルは、この逆です。ケーブルの進みの無効電力を、リアクトルの遅れで打ち消します。高圧絶縁耐力試験の図5と見比べると、矢印の向きが上下で入れ替わっているだけだと分かります。

電流が減るのは、コンデンサより電源側だけ

図3 電流が減るのは、コンデンサをつないだ点より電源側

例題1・例題2の負荷を、6,600Vの線路の先につないだ場合です。矢印の上の数値が、その区間の線電流です。

コンデンサなし
~電源負荷43.7A①

①電源から負荷まで、線路の全部に43.7Aが流れる。

コンデンサあり
~電源負荷コンデンサ 175kvar32.8A43.7A②③④

②電源側は32.8Aに減る。③コンデンサが、負荷の遅れの無効電力のうち175kvarを受け持つ。④コンデンサから負荷までは43.7Aのまま。

図3で押さえるところ:負荷が取る無効電力そのものは減りません。どこから送るかが、電源からコンデンサへ変わります。

図3の①のとおり、コンデンサがなければ、電源から負荷までの全部に43.7Aが流れます。コンデンサをつなぐと、図3の③のように遅れの無効電力の一部をコンデンサが受け持つので、図3の②の電源側の電流は 375,000V·A ÷ (√3 × 6,600V) ≒ 32.8A に減ります。図3の④のコンデンサから負荷までは、もとの43.7Aのままです。

損失は電流の2乗に比例するので、電源側の線路の損失は (32.8 ÷ 43.7)² ≒ 0.56倍、およそ56%になります。力率の比の2乗、(0.6 ÷ 0.8)² = 0.5625 と同じ値です。

日本電気技術者協会の解説は、コンデンサをつなぐ位置を受電点・高圧母線・変圧器の二次側・負荷と並列の4つに分けています。負荷に近い位置ほど、構内の変圧器と配電線の損失や電圧降下まで軽くなります。図3で、電流が減るのがコンデンサより電源側に限られるためです。

コンデンサの容量は Q=P(tanθ1−tanθ2) で求める(例題2・例題3)

図1の三角形で、tanθ = 無効電力 ÷ 有効電力です。そこで無効電力は Q = P × tanθ と書けます。改善する前の無効電力が P tanθ1、改善した後に残してよい無効電力が P tanθ2 なので、コンデンサで打ち消す量はその差になります。

コンデンサの容量 Q〔kvar〕 = P〔kW〕 × (tanθ1 − tanθ2)

力率(cosθ)から tanθ を求めるには、sinθ = √(1 − cos²θ) を出して、cosθ で割ります。試験によく出る力率の値を表にしました。

力率 cosθ sinθ tanθ(= sinθ ÷ cosθ)
0.6 0.8 1.333
0.7 0.714 1.02
0.8 0.6 0.75
0.9 0.436 0.484
0.95 0.312 0.329
1 0 0

例題2 例題1の負荷(300kW・遅れ力率0.6)の力率を、0.8に改善します。

コンデンサの容量 Q = 300kW × (1.333 − 0.75) = 300kW × 0.583 ≒ 175kvar
図2で確かめると、400kvar − 225kvar = 175kvar で一致します。

例題3 400kW・遅れ力率0.8の負荷の力率を、0.95に改善します。

コンデンサの容量 Q = 400kW × (0.75 − 0.329) = 400kW × 0.421 = 168.4kvar

力率を1にするなら tanθ2 = 0 なので、P × tanθ1、つまり負荷の遅れの無効電力と同じ容量です。試験では「線路の電力損失を最小にするコンデンサの容量」が問われています。損失が最小になるのは力率が1のときなので、この形で求めます。負荷が2つあるときは、それぞれの無効電力を足した値が答えです。

コンデンサの容量が負荷の無効電力より大きいと、今度は進み力率になります。進み力率では、線路のリアクタンスによって受電端の電圧が上がることがあります。夜間や休日のように負荷が軽いときに起こりやすい現象です。電圧降下の式でリアクタンスの項の符号が変わる計算は、変圧器の%Zと高圧配電線路の計算にあります。

単線結線図では、開閉器・直列リアクトル・コンデンサの順に並ぶ

図4 コンデンサの分岐は、開閉器・直列リアクトル・コンデンサの順に並ぶ

高圧受電設備の単線結線図から、コンデンサの分岐だけを取り出したものです。上が電源側です。

高圧母線(6,600V)開閉器(PF付LBS)直列リアクトル進相コンデンサ放電抵抗を内蔵①②③④⑤
図4で読むところ:③はコンデンサと直列、⑤はコンデンサの中にあります。図記号の形と位置で、③と④を見分けます。

試験の配線図では、図4の①の高圧母線から分かれた先に、図4の②の開閉器、図4の③の直列リアクトル、図4の④の進相コンデンサが、この順に直列で描かれます。図4の③の図記号は、左下が欠けた円です。図4の④は、四角の中に極板が2枚あります。図4の⑤の放電抵抗はコンデンサの中にあるので、単線結線図には描かれません。

図4の②のPF付LBSは、ふだんの開閉をLBSが、短絡電流の遮断を限流ヒューズ(PF)が受け持ちます。開閉器の見分け方はVCB・DS・LBS・PASの違い、限流ヒューズの働きはPF・S形とCB形の違いで扱っています。コンデンサの金属製の外箱にはA種接地工事を施します(高圧受電設備の接地系統図)。

3つの機器の役割は、次のように分かれます。試験では、役割を入れ替えた選択肢が出ます。

機器 役割 役割に入らないこと
進相コンデンサ(SC) 負荷の遅れの無効電力を打ち消して、力率を改善する 高調波の発生源にはならない
直列リアクトル(SR) 高調波による電圧波形のひずみを改善し、高調波障害の拡大を防ぐ。投入時の突入電流を抑える 残留電荷の放電、力率の改善
放電装置(放電抵抗・放電コイル) 電路から切り離した後に、コンデンサに残った電荷を逃がす 突入電流や高調波の抑制

直列リアクトルは、高調波の拡大を防ぎ、突入電流を抑える

試験の配線図では、直列リアクトルの役割として誤っているものを選ぶ設問が、2回続けて出ています。正しい記述は「コンデンサ回路の突入電流を抑制する」「電圧波形のひずみを改善する」「第5調波等の高調波障害の拡大を防止する」の3つで、誤りは「コンデンサの残留電荷を放電する」です。写真で用途を問う設問でも、正解は「高調波電流を抑制する」で、「負荷の力率を改善する」は誤りでした。

突入電流は、コンデンサを電源につないだ瞬間に流れる大きな電流です。日本電気技術者協会の解説によると、定格電流の数十倍になる突入電流を、直列リアクトルによって約5倍程度に抑えられます。

高調波については、リアクトルを付けないコンデンサが問題になります。コンデンサは周波数が高いほど電流を通しやすく、電源側のリアクタンスと組み合わさると、負荷が出した高調波の電流を増やして電源へ流してしまいます。協会の計算例(319kvarのコンデンサ・電源の短絡容量150MVA)では、負荷が出した第5調波の電流を100としたとき、電源へ流れ出る量は、リアクトルなしで104.9、6%のリアクトル付きで91.4です。リアクトルを付けると、100より小さくなります。

リアクタンスが6%なのは、第5調波に対して誘導性にするため

試験では、直列リアクトルのリアクタンスとして「コンデンサリアクタンスの6%」が正解になっています。JEMA(日本電機工業会)の資料も、高圧受電設備規程が「原則としてコンデンサリアクタンスの6%又は13%直列リアクトルを施設すること」と定めていると紹介しています。

図5 6%の直列リアクトルは、基本波ではコンデンサが勝ち、第5調波ではリアクトルが勝つ

コンデンサのリアクタンス(基本波)を100としたときの、リアクトルとコンデンサのリアクタンスです。棒の長さが大きさを表します。

基本波(50Hz・60Hz)

①リアクトル 6

②コンデンサ 100

コンデンサが勝つ(100 − 6 = 94)。回路は容量性で、進相コンデンサとして働く。

第5調波(周波数が5倍)

③リアクトル 6 × 5 = 30

④コンデンサ 100 ÷ 5 = 20

リアクトルが勝つ(30 − 20 = 10)。回路は誘導性で、電源側のリアクタンスと共振しない。

図5の読み方:周波数が上がると、リアクトルの棒は伸び、コンデンサの棒は縮みます。入れ替わるのが第5調波より手前になるよう、6%にします。

リアクトルのリアクタンスは周波数に比例し、コンデンサのリアクタンスは周波数に反比例します。基本波では、図5の①のリアクトルが6、図5の②のコンデンサが100なので、回路全体はコンデンサとして働きます。第5調波では周波数が5倍になり、図5の③のリアクトルは30、図5の④のコンデンサは20です。リアクトルが勝つので、回路は第5調波に対して誘導性になります。

誘導性どうしは共振しないので、電源側のリアクタンスと組み合わさっても、高調波の電流は増えません。2つがちょうど等しくなるのは、5 × XL = XC ÷ 5、つまりリアクトルが4%のときです。6%はこれより大きい値です。13%のリアクトルなら、第3調波に対しても 13 × 3 = 39 が 100 ÷ 3 ≒ 33.3 を上回り、誘導性になります。

高調波は整流器やインバータから出て、第5調波がいちばん多い

高調波は、基本波(50Hz・60Hz)の整数倍の周波数を持つ成分です。第5調波は、50Hzの地域なら250Hz、60Hzの地域なら300Hzです。交流を直流に変える整流器や、電動機の速度を変えるインバータは、電流の波形をひずませるので、高調波の発生源になります。

試験では、高調波の発生源とならない機器として進相コンデンサが正解になっています。交流アーク炉・半波整流器・動力制御用インバータが、発生源の側です。コンデンサは高調波を出しませんが、前の節のとおり、リアクトルなしでは高調波を増やす側に回ります。

日本電気技術者協会の解説によると、電力系統では第5調波がとくに多くなります。第3調波は変圧器のΔ結線の中で吸収され、第7調波より上は近くの静電容量などに吸収されるためです。前の節で見たとおり、6%の直列リアクトルは、この第5調波に対して誘導性になります。

波形のひずみの大きさは、総合電圧ひずみ率(THD)で表します。各次数の高調波電圧を2乗して足し、平方根をとって、基本波の電圧で割った値です。基本波に対して第5調波が4%、第7調波が3%なら、√(4² + 3²) = √25 = 5%です。6.6kVの配電系統では、総合で5%が目標の水準とされています。

直列リアクトルを付けると、コンデンサの電圧と回路の無効電力が変わる(例題4)

リアクトルとコンデンサを直列につなぐと、同じ電流に対して、リアクトルの電圧とコンデンサの電圧は逆向きになります。回路全体の電圧は2つの差なので、コンデンサの端子には、回路の電圧より高い電圧がかかります。6%のリアクトルなら、次のとおりです。

コンデンサの端子電圧 = 6,600V ÷ (1 − 0.06) ≒ 7,021V

直列リアクトルと組み合わせる高圧進相コンデンサの定格電圧が、6,600Vではなく7,020Vなのは、この上がりぶんを見込んでいるためです。リアクトルの両端の電圧は、1相あたり 7,020V ÷ √3 × 0.06 ≒ 243V です。

例題4 線間電圧6,600Vの平衡三相回路に、Y結線で、1相あたりの容量性リアクタンス XC = 250Ω のコンデンサと、誘導性リアクタンス XL = 15Ω(XCの6%)の直列リアクトルをつなぎます。回路の無効電力を求めます。

1相のリアクタンス = XC − XL = 250Ω − 15Ω = 235Ω
無効電力 Q = V² ÷ (XC − XL) = 6,600V × 6,600V ÷ 235Ω ≒ 185,362var = 約185kvar
リアクトルがなければ 6,600V × 6,600V ÷ 250Ω ≒ 約174kvar です。

式が V² ÷ (XC − XL) になるのは、リアクトルとコンデンサのリアクタンスが打ち消し合い、差だけが残るからです。三相では、1相の電圧が V ÷ √3 で、3相ぶんを足すので、3 × (V ÷ √3)² = V² になります。試験でも、直列リアクトルを設けた高圧進相コンデンサの無効電力を表す式として、この形(分母が2つのリアクタンスの差)が正解になっています。分母を2つの和にした式は誤りです。

放電装置は、切り離した後の残留電荷を逃がす

コンデンサは電荷をためる機器なので、開閉器を開いて電路から切り離しても、端子に電圧が残ります。この残留電荷を逃がすのが放電装置で、放電抵抗と放電コイルの2つがあります。

放電装置 残留電圧を50V以下にする時間 付き方
放電抵抗 5分間 高圧進相コンデンサに内蔵されている
放電コイル 5秒間 外付け。コンデンサの回路に並列につなぐ

メーカーのカタログでは、高圧進相コンデンサは放電抵抗を内蔵し、端子を開放した後の残留電圧を5分間で50V以下にするとされています。放電コイルは、より短い5秒間で50V以下にします。

労働安全衛生規則 第339条は、開路した電路が電力コンデンサなどを持ち、残留電荷による危険があるときは、「安全な方法により当該残留電荷を確実に放電させること」を求めています。試験で直列リアクトルの役割に「残留電荷を放電する」が入らないのは、この仕事が放電装置のものだからです。

月間の平均力率は、電力量計と無効電力量計から求める(例題5)

力率は負荷の変化につれて刻々と変わります。1か月のような期間の平均力率は、その期間の有効電力量〔kW·h〕と無効電力量〔kvar·h〕から求めます。試験でも、平均力率を求めるのに必要な計器の組み合わせとして、電力量計と無効電力量計が正解になっています。電力計や最大需要電力計は、その時点や最大の電力を測る計器で、期間の平均力率は求められません。

平均力率 = 有効電力量 ÷ √(有効電力量² + 無効電力量²)

例題5 ある月の有効電力量が120,000kW·h、無効電力量が50,000kvar·hでした。平均力率を求めます。

√(120,000² + 50,000²) = 130,000
平均力率 = 120,000 ÷ 130,000 ≒ 0.923(約92%)

式の形は図1の三角形と同じです。電力〔kW・kvar〕を、期間で積み上げた電力量〔kW·h・kvar·h〕に置き換えています。

自己チェック|容量・リアクタンス・平均力率を計算で確かめる

解説は最初から表示しています。計算の設問は、誤りの選択肢がどの取り違えで出る値かも確かめてください。

問1:300kW・遅れ力率0.6の負荷に、175kvarの進相コンデンサを並列につなぎました。電源が送る有効電力は何kWになりますか。

  1. 125kW
  2. 225kW
  3. 300kW
  4. 375kW

解答:3(300kW)
コンデンサが打ち消すのは遅れの無効電力で、有効電力は300kWのまま変わりません(図2)。125kWは有効電力から175を引いた値、225は改善した後の無効電力〔kvar〕、375は改善した後の皮相電力〔kV·A〕の数値です。

問2:進相コンデンサ(SC)・直列リアクトル(SR)・放電装置の役割の組み合わせとして、正しいものはどれですか。

  1. SC=遅れの無効電力を打ち消す、SR=高調波障害の拡大を防ぎ突入電流を抑える、放電装置=残留電荷を逃がす
  2. SC=遅れの無効電力を打ち消す、SR=残留電荷を逃がす、放電装置=高調波障害の拡大を防ぐ
  3. SC=投入時の突入電流を抑える、SR=遅れの無効電力を打ち消す、放電装置=残留電荷を逃がす
  4. SC=遅れの無効電力を打ち消す、SR=電圧波形のひずみを改善する、放電装置=投入時の突入電流を抑える

解答:1
2はSRと放電装置の役割が入れ替わっています。3はSCとSRが入れ替わっています。4はSRの説明は正しいのですが、突入電流を抑えるのもSRで、放電装置の役割は残留電荷を逃がすことです。

問3:200kW・遅れ力率0.8の三相負荷の力率を、1(100%)にします。必要なコンデンサの容量は何kvarですか。

  1. 40kvar
  2. 120kvar
  3. 250kvar
  4. 150kvar

解答:4(150kvar)
力率0.8のとき tanθ = 0.75、力率1のとき tanθ = 0 なので、Q = 200kW × (0.75 − 0) = 150kvar です。120は sinθ の0.6を掛けた値、250は皮相電力(200 ÷ 0.8)の数値、40は力率の差(1 − 0.8)を掛けた値です。

問4:有効電力と電圧が同じまま、遅れ力率を0.7から0.9へ改善しました。コンデンサより電源側の電流は、改善する前の何倍になりますか。

  1. 約1.29倍
  2. 約0.78倍
  3. 約0.60倍
  4. 約0.22倍

解答:2(約0.78倍)
電流は力率に反比例するので、0.7 ÷ 0.9 ≒ 0.78倍です。約1.29倍は割る向きが逆です。約0.60倍は0.78を2乗した値で、これは線路の損失の比です。約0.22倍は「減った割合」のほうです。

問5:リアクタンスがコンデンサの6%の直列リアクトルを付けたコンデンサ回路は、第5調波に対してどうなりますか。コンデンサの基本波のリアクタンスを100%として答えてください。

  1. 容量性のまま(6% − 100% = −94%)
  2. 容量性のまま(6% ÷ 5 − 100% × 5 = −498.8%)
  3. 誘導性になる(6% × 5 − 100% ÷ 5 = +10%)
  4. リアクトルとコンデンサのリアクタンスが等しくなり、共振する

解答:3(誘導性になる)
周波数が5倍になると、リアクトルのリアクタンスは5倍、コンデンサのリアクタンスは5分の1です(図5)。1は基本波のままの計算、2は掛けると割るが逆です。4のように等しくなるのは、リアクトルが4%のとき(4% × 5 = 100% ÷ 5)です。

問6:線間電圧6,600Vの平衡三相回路に、Y結線で、1相あたりの容量性リアクタンス200Ωのコンデンサと、誘導性リアクタンス12Ωの直列リアクトルをつなぎました。この回路の無効電力は何kvarですか。

  1. 約232kvar
  2. 約218kvar
  3. 約205kvar
  4. 約134kvar

解答:1(約232kvar)
Q = V² ÷ (XC − XL) = 6,600V × 6,600V ÷ (200Ω − 12Ω) ≒ 231,702var = 約232kvar です。約218kvarはリアクトルを無視して200Ωで割った値、約205kvarは2つのリアクタンスを足した212Ωで割った値、約134kvarは余分に√3で割った値です。

問7:ある月の有効電力量が80,000kW·h、無効電力量が60,000kvar·hでした。この月の平均力率は何%ですか。

  1. 約57%
  2. 60%
  3. 75%
  4. 80%

解答:4(80%)
平均力率 = 80,000 ÷ √(80,000² + 60,000²) = 80,000 ÷ 100,000 = 0.8(80%)です。75%は60,000 ÷ 80,000、60%は60,000 ÷ 100,000、約57%は80,000を2つの和の140,000で割った値です。

容量の式・6%の値・放電時間を確かめた資料

更新履歴:2026年10月25日 例題4と問6に平衡三相・Y結線の計算条件を明記しました。

2026年10月4日に、次の資料の記載内容を確認して、本文の式・数値・例題と図を照合しました。

更新履歴:2026年10月4日 図1〜図5と、コンデンサの容量・直列リアクトル付きの回路の無効電力・平均力率の例題、自己チェックを加え、力率改善のしくみから順に計算する構成に改めた

次に読む記事

次は変圧器の%Zと高圧配電線路の計算へ進んでください。力率と線路のリアクタンスから電圧降下を求める計算と、変圧器の並行運転の条件を扱っています。

進みの無効電力を遅れで打ち消す、逆向きの例は高圧絶縁耐力試験の補償リアクトルです。

コンデンサの手前にある開閉器の図記号は、VCB・DS・LBS・PASの違いで見分けられます。

資格太郎

この記事を書いた人:資格太郎電気工事士の独学合格を目指して学習中。試験センターの問題と技術者協会の解説を照合し、力率改善の計算と直列リアクトルの役割を図と例題で整理しています。運営者情報と編集方針

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