受験ガイド

第一種と第二種電気工事士の違いは?どちらを先に取るべきか徹底比較

結論:まずは第二種から取りましょう

第二種電気工事士は「住宅・小規模店舗」の電気工事ができる資格で、第一種電気工事士は「ビル・工場・大型商業施設」の電気工事ができる資格です。

車の免許に例えるなら、こんなイメージです。

  • 第二種電気工事士 = 普通免許(日常生活で使う車を運転できる)
  • 第一種電気工事士 = 大型免許(トラックやバスも運転できる)

普通免許を取らずにいきなり大型免許を取る人が少ないのと同じで、電気工事士もまずは第二種から取るのが王道ルートです。

この記事では、第一種と第二種の具体的な違い、試験内容や合格率の比較、そして「どちらを先に取るべきか」を徹底的に解説します。

「一般用電気工作物」と「自家用電気工作物」の違い

第一種と第二種の違いを理解するには、まず「どんな建物の電気工事ができるか」を知る必要があります。

電気事業法(でんきじぎょうほう)という法律では、電気設備を大きく2つに分けています。

一般用電気工作物(いっぱんようでんきこうさくぶつ)→ 第二種の範囲

600V以下で受電する、比較的小さな電気設備のことです。

具体的には、こんな建物が該当します。

  • 一般住宅(自宅・マンションの各住戸)
  • 小規模な店舗・事務所
  • 小さな飲食店・美容室

皆さんの自宅にあるコンセントの増設、照明器具の交換、エアコン専用回路の設置——これらはすべて一般用電気工作物の工事にあたり、第二種電気工事士の資格で対応できます

自家用電気工作物(じかようでんきこうさくぶつ)→ 第一種の範囲

最大電力500kW未満で受電する、比較的大きな電気設備のことです。

具体的には、こんな建物が該当します。

  • オフィスビル
  • 商業施設・ショッピングモール
  • 工場・倉庫
  • 病院・学校
  • 大規模マンション(共用部分)

これらの建物は電力会社から高圧(6,600Vなど)で電気を受け取り、建物内のキュービクル(変電設備)で100Vや200Vに変換して使っています。扱う電圧が高く、設備も大規模なので、第一種電気工事士の資格が必要になります。

身近な例で考えてみよう

水道に例えると、わかりやすいかもしれません。

  • 一般用電気工作物 = 家庭の水道管(水圧が低く、蛇口の交換くらいなら対応しやすい)
  • 自家用電気工作物 = ビルの給水設備(水圧が高く、ポンプや貯水タンクまで含む大規模な配管)

扱うスケールが違うからこそ、必要な資格も分かれているわけです。

第二種と第一種 — 工事できる範囲のイメージ
第二種電気工事士
一般用電気工作物
(600V以下で受電)
住宅・小規模店舗
コンセント増設
照明交換・エアコン回路
スイッチの交換
第一種電気工事士
自家用電気工作物
(500kW未満で受電)
ビル・工場・商業施設
キュービクル関連工事
高圧ケーブル敷設
+第二種の範囲もOK

ポイントは、第一種は第二種の範囲も含むということ。第一種を持っていれば、住宅の工事もビルの工事もどちらもできます。ただし、第一種の免状(めんじょう)を取得するには実務経験が必要なので、順番が大切です。

第一種と第二種を徹底比較!試験内容・合格率・受験料

ここからは、試験の具体的な違いを表で比較していきます。

比較項目 第二種電気工事士 第一種電気工事士
工事できる範囲 一般用電気工作物 一般用+自家用(500kW未満)
学科試験の出題数 50問(四肢択一) 50問(四肢択一)
学科試験の合格基準 60点以上(60%) 60点以上(60%)
技能試験の時間 40分 60分
学科試験の合格率 約55〜60% 約50〜55%
技能試験の合格率 約65〜70% 約60〜65%
受験資格 誰でも受験可能 誰でも受験可能
免状の交付条件 合格すれば申請可能 合格+実務経験3年以上
受験手数料 インターネット 9,300円
郵便 9,600円
インターネット 10,900円
郵便 11,300円

表を見ると、試験の形式自体は似ていることがわかります。どちらも学科50問+技能試験という構成で、合格基準も同じ60%です。

大きな違いは次の2点です。

  1. 第一種のほうが出題範囲が広い:第二種の内容に加えて、高圧受電設備・発電送電・電気応用などが追加されます。
  2. 第一種は合格しても実務経験がないと免状がもらえない:これが最大のポイントです。第二種は合格すればすぐに免状を申請できますが、第一種は電気工事の実務経験が3年以上必要です。

どちらを先に取るべき?→ 結論:まず第二種です

迷っている方への結論は明確です。まずは第二種電気工事士を取りましょう。理由は3つあります。

理由1:第二種が基礎。第一種は「第二種+α」の構成

第一種の学科試験の出題範囲は、第二種の出題範囲をベースに、高圧受電設備・発電送電変電・電気応用などが上乗せされた構成です。

つまり、第二種の勉強はそのまま第一種の勉強につながります。いきなり第一種から始めると、第二種レベルの基礎知識(オームの法則、配線設計、施工方法など)がない状態で応用問題に挑むことになり、非常に効率が悪くなります。

建物に例えるなら、1階(第二種の知識)を建てずに2階(第一種の知識)を建てようとするようなものです。

理由2:第二種だけで就職・転職できる

「どうせ取るなら最初から第一種を」と思うかもしれません。しかし、現実の求人市場では第二種電気工事士だけで応募できる求人が大量にあります

住宅の電気工事、エアコンの取り付け、リフォーム工事など、第二種の範囲だけで成り立つ仕事はたくさんあります。資格を活かして働き始めたいなら、まず第二種で就職し、働きながら第一種を目指すのが現実的です。

理由3:第一種は合格しても、実務経験3年がないと免状がもらえない

これが最も重要な理由です。

第一種電気工事士の試験に合格しても、電気工事に関する実務経験が3年以上ないと免状(免許証のようなもの)が交付されません。免状がなければ、資格を名乗って工事することはできません。

つまり、未経験の方がいきなり第一種に合格しても、すぐに仕事で使えるわけではないのです。

一方、第二種は試験に合格すれば、実務経験なしで免状を申請できます。すぐに資格者として働き始められるのは大きなメリットです。

まとめると...

第二種を取得 → 就職して実務経験を積む → 第一種に挑戦
これが最も効率的で現実的なルートです。

こんな人は第一種から受けてもOK

「まず第二種から」が基本ですが、以下に当てはまる方は第一種から挑戦するのもアリです。

工業高校で電気の基礎を学んでいる人

工業高校の電気科・電子科で学んでいる(または卒業した)方は、オームの法則や交流回路などの基礎知識がすでに身についています。第二種レベルの内容は授業でカバーしているケースが多いので、いきなり第一種を受験しても十分戦えます。

すでに電気工事の現場経験がある人

無資格の補助作業や、別の資格(認定電気工事従事者など)で現場に出ている方は、実務で使う知識が身についています。この場合、第二種を飛ばして第一種を受けても問題ないでしょう。合格後の免状申請に必要な実務経験もすでにクリアしている可能性があります。

第二種の勉強が終わって余力がある人

実は、第二種と第一種は同じ年に受験することも可能です。例えば、上期で第二種を受験して合格した後、下期で第一種に挑戦するという戦略も取れます。

第二種の勉強で基礎が固まっているので、追加で高圧受電設備や発電送電の分野を学べば、短期間で第一種の合格ラインに届くことも十分あり得ます。

キャリアパスのイメージ:第二種から独立まで

電気工事士の資格を活かしたキャリアの全体像を見てみましょう。

電気工事士のキャリアロードマップ
STEP 1:第二種電気工事士 取得
住宅・小規模店舗の電気工事ができる
STEP 2:就職・実務経験を積む
現場で3年以上の経験を積む
STEP 3:第一種電気工事士 取得
ビル・工場の電気工事も対応可能に
STEP 4:施工管理技士 など上位資格
現場監督・管理者としてステップアップ
STEP 5:独立開業

もちろん全員がこの通りに進むわけではありませんが、「第二種 → 実務経験 → 第一種」という流れは電気工事業界の王道ルートです。

第二種を持って現場に入ると、住宅のコンセント増設やスイッチ交換、照明工事などを担当します。最初は先輩の指示で動きますが、経験を積むうちに1人で現場を任されるようになります。

3年の実務経験を積んだら第一種に挑戦。第一種を取得すれば、ビルや工場の電気工事も担当できるようになり、仕事の幅がぐっと広がります。さらに1級電気工事施工管理技士などの上位資格を取得すれば、現場監督や管理者として活躍でき、将来的には独立開業も視野に入ってきます。

まとめ

  • 第二種電気工事士:住宅・小規模店舗の電気工事ができる。合格すればすぐ免状がもらえる。
  • 第一種電気工事士:ビル・工場・大型施設の電気工事ができる。合格+実務経験3年で免状交付。
  • まずは第二種から取るのが王道。基礎知識が身につき、すぐに就職・転職に使える。
  • 第二種 → 就職 → 実務経験 → 第一種 → 上位資格 → 独立、が電気工事士のキャリアロードマップ。
  • 工業高校出身者や現場経験者は、第一種から挑戦してもOK。

どちらの資格を取るか迷っている方は、まず第二種の勉強から始めてみてください。第二種で学ぶ内容はそのまま第一種の土台になるので、決してムダにはなりません。

理解度チェッククイズ

この記事の内容が理解できたか、クイズで確認してみましょう。

【第1問】
あなたは電気工事会社に就職したばかりの新人です。上司から「今日は住宅のリフォーム現場に行って、リビングのコンセントを2口から4口に増設してきて」と指示されました。この工事を行うために最低限必要な資格は次のうちどれですか?

  1. 第一種電気工事士
  2. 第二種電気工事士
  3. 1級電気工事施工管理技士
  4. 認定電気工事従事者
解答を見る

正解:2(第二種電気工事士)
住宅は「一般用電気工作物」に該当するため、第二種電気工事士の資格で工事できます。第一種でも工事は可能ですが、「最低限必要な資格」としては第二種が正解です。認定電気工事従事者は自家用電気工作物の簡易な工事(600V以下)に限られる資格で、一般用電気工作物の工事はできません。

【第2問】
先輩から「来年、第一種電気工事士の試験を受けて合格したら、すぐにビルの電気工事の現場に1人で入れるぞ」と言われました。この先輩の発言について、正しいものはどれですか?

  1. 正しい。第一種に合格すれば、すぐにビルの電気工事ができる
  2. 間違い。第一種の免状取得には実務経験が1年必要だから
  3. 間違い。第一種の免状取得には実務経験が3年以上必要だから
  4. 間違い。第一種の受験には第二種の免状が必須だから
解答を見る

正解:3(間違い。第一種の免状取得には実務経験が3年以上必要だから)
第一種電気工事士は試験に合格しただけでは免状が交付されません。電気工事に関する実務経験が3年以上必要です。免状がなければ「第一種電気工事士」として工事を行うことはできないため、先輩の「すぐにビルの現場に入れる」という発言は間違いです。なお、第一種の受験自体には第二種の免状は不要で、誰でも受験できます(選択肢4も間違い)。

【第3問】
あなたは第二種電気工事士の資格を持っており、先月からショッピングモールの新築工事の現場で働いています。ある日、現場監督から「照明器具の取り付けを手伝ってくれ」と言われました。このショッピングモールは高圧で受電する自家用電気工作物です。第二種電気工事士の資格だけでこの作業を行えますか?

  1. 行える。照明の取り付けは簡単な作業だから資格は関係ない
  2. 行える。第二種電気工事士はすべての照明工事ができる
  3. 行えない。自家用電気工作物の電気工事には第一種電気工事士が必要だから
  4. 行えない。ショッピングモールの工事には施工管理技士が必要だから
解答を見る

正解:3(行えない。自家用電気工作物の電気工事には第一種電気工事士が必要だから)
ショッピングモールは高圧で受電する自家用電気工作物にあたるため、電気工事を行うには第一種電気工事士(または認定電気工事従事者)の資格が必要です。第二種電気工事士の資格だけでは、たとえ照明の取り付けであっても自家用電気工作物の工事はできません。「作業が簡単かどうか」ではなく、「どの種類の電気工作物か」で必要な資格が決まる点がポイントです。

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