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第二種電気工事士の合格率と難易度|過去データから見る攻略ポイント

結論から言います

第二種電気工事士の合格率は、学科試験が約55〜62%技能試験が約70〜74%です。国家資格のなかでは取りやすい部類に入ります。

ただ、合格率の数字だけ見ていても意味がありません。大事なのは「この数字の裏側に何があるのか」「自分はどう戦えばいいのか」を知ることです。

この記事では、過去の合格率データを並べるだけでなく、「なぜこの数字になるのか」「不合格になる人の典型パターン」「具体的にどう対策すれば受かるのか」まで踏み込んで解説します。読み終わるころには、「自分でも受かりそう」と感じてもらえるはずです。

学科試験の合格率推移(2020〜2024年度)

まずは学科試験(旧:筆記試験)の合格率を見てみましょう。

※2024年度から正式名称が「筆記試験」から「学科試験」に変更されました。試験内容に大きな変化はありません。

年度 上期 下期
2020年度 コロナ中止 約62.3%
2021年度 約58.8% 約57.7%
2022年度 約57.7% 約53.3%
2023年度 約56.1% 約55.6%
2024年度 約61.4% データ確認中

おおむね55〜62%前後で推移しています。受験者の半数以上が合格しているので、しっかり勉強すれば決して難しい試験ではないことが分かります。

2022〜2023年度はやや合格率が下がりましたが、2024年度上期は約61.4%と回復傾向にあります。年度による大きなブレはなく、安定した合格率が特徴です。

この数字の裏側 ― 実質的な合格率はもっと高い

「約60%」と聞くと、「4割も落ちるのか」と不安になるかもしれません。しかし、この数字には大きなカラクリがあります。

受験者のなかには、「とりあえず申し込んだけど、ほとんど勉強しなかった」という"記念受験"の人がかなりの割合で含まれています。会社から言われてなんとなく受けた人、テキストを買ったまま開かなかった人。こうした層が平均合格率を下げているのです。

逆に言えば、テキストを1冊しっかりやり、過去問を3〜5年分解いた人に限れば、合格率は体感で80〜90%近いと言っても過言ではありません。「きちんと準備した人は、だいたい受かる」。それが第二種電気工事士の学科試験です。

技能試験の合格率推移(2020〜2024年度)

続いて技能試験の合格率です。

年度 上期 下期
2020年度 コロナ中止 約72.4%
2021年度 約74.2% 約71.1%
2022年度 約72.4% 約70.6%
2023年度 約73.2% 約71.4%
2024年度 約71.5% データ確認中

技能試験は約70〜74%と、学科試験よりも高い合格率です。学科試験を通過した人だけが受験するため、「ある程度勉強した人の中での70%台」という点は覚えておきましょう。

技能試験が70%台になる理由

「実技なんて自分にはムリ」と思うかもしれませんが、技能試験には大きなアドバンテージがあります。それは、候補問題(こうほもんだい)が事前に公表されるということです。

毎年1月ごろに、13問の候補問題が公開されます。本番では、この13問のうちどれか1問が出題されるだけです。つまり、出題範囲が100%わかっている試験なのです。

これは、たとえるなら「期末テストの問題を先生が13パターン見せてくれて、本番はそのどれか1つが出る」ようなもの。全パターンを練習しておけば、初見の問題は出ません。合格率70%台というのは、練習すれば受かるように設計されている試験だからこそのの数字です。

難易度分析 ― 他の資格と比べてどのくらい?

学科試験の合格基準

  • 出題形式:4択のマークシート方式
  • 問題数:50問
  • 合格ライン30問正解(60%)
  • 試験時間:120分

50問中30問で合格なので、20問は間違えてもOKです。全分野を完璧にする必要はなく、得意分野で確実に点を取る戦略が有効です。

技能試験の合格基準

  • 試験内容:配線図をもとに実際に回路を組み立てる
  • 制限時間40分
  • 合格基準:欠陥(けっかん)がゼロであること

技能試験は点数ではなく、欠陥の有無で合否が決まります。1つでも欠陥があれば不合格です。逆に言えば、欠陥なく完成させれば100%合格できます。

他の国家資格との難易度比較

資格名 合格率の目安 難易度
危険物取扱者 乙種4類 約30〜40% ★★☆☆☆
第二種電気工事士(学科) 約55〜62% ★★☆☆☆
FP2級 約40〜60% ★★★☆☆
宅地建物取引士(宅建) 約15〜17% ★★★★☆

第二種電気工事士は、宅建やFP2級と比べると合格率が高く、難易度は低めです。宅建は合格率15%前後で、法律の読み解きや判例の理解が求められるため、学習量も質も桁違いです。それに比べると、第二種電気工事士はかなり取り組みやすい資格と言えます。

「自分でも取れるの?」という不安に答えます

第二種電気工事士は、工業高校の生徒が在学中に取る資格の定番です。高校2年生や3年生がクラス単位で受験し、多くの生徒が合格しています。つまり、大学受験のような高度な学力は必要ありません。

「でも自分は文系だし、電気のことは全然わからない」という方もいるでしょう。安心してください。完全な文系出身で、社会人になってからゼロから勉強を始めて、3ヶ月で一発合格したという人は珍しくありません。Ohm(オーム)の法則すら知らなかった状態からでも、正しい手順で学べば十分に間に合います。

技能試験についても同じです。「工具なんて触ったことがない」という人でも、候補問題を2〜3周練習すれば本番で手が動くようになります。最初は30分以上かかっていた作業が、練習を重ねるうちに20分台で終わるようになる。その成長を実感できるのも、この試験の面白いところです。

不合格になりやすいパターン ― こんな「あるある」に要注意

合格率が高いとはいえ、落ちてしまう人にはある程度パターンがあります。「自分もやりそうだな」と思うものがあれば、今のうちに意識を変えておきましょう。

学科試験の不合格あるある

あるある1:過去問を「回す」だけで「理解」していない

過去問を何周も回して「なんとなく見覚えがある」状態にはなった。でも本番では、問題文の言い回しが微妙に変わっていたり、選択肢の順番が入れ替わっていたりする。そこで「あれ、なんか違う」とパニックになって、自信を持って答えられない。これが一番多い不合格パターンです。

対策はシンプルで、過去問を解くときに「なぜこの選択肢が正解で、他が間違いなのか」を毎回確認すること。この一手間が、本番での応用力を大きく左右します。

あるある2:計算問題を全部捨てる

「数学が苦手だから計算は全部捨てる」という戦略は危険です。たしかに難しい計算問題もありますが、オームの法則(V=IR)と電力の公式(P=VI)だけで解ける問題が毎回数問出題されます。ここを捨てると、合格ラインぎりぎりで数点足りずに落ちるリスクが高まります。

公式2つだけでいいので、「代入して答えを出す」練習をしておきましょう。それだけで2〜4点は拾えます。

あるある3:配線図をナメる

配線図の問題は学科試験の後半でまとめて出題されます。図記号(ずきごう)をちゃんと覚えていないと、ここで一気に10問近く落とすことになります。逆に、図記号と器具の写真をセットで暗記しておけば確実に得点源になるおいしい分野です。

技能試験の不合格あるある

あるある1:練習を後回しにして時間切れ

「学科が受かってから技能の練習を始めよう」と思っていたら、工具や材料の準備に手間取り、練習期間がほとんどなかった。本番では手が思うように動かず、作品が完成しないまま40分が過ぎてしまう。これが技能試験で最も悲しい不合格パターンです。

制限時間40分は、慣れていないとあっという間です。候補問題を繰り返し練習して、30分以内に完成できるスピードを目指しましょう。本番は緊張でいつもより5〜10分遅くなると思っておいてください。

あるある2:「なんとなく」で結線して欠陥を出す

練習では「たぶんこれで合ってる」で通していたけど、実は欠陥の判定基準を正確に知らなかった。たとえば、被覆(ひふく)のむきすぎ、差込コネクタへの挿入不足、リングスリーブの刻印ミス。どれも「ちょっとしたこと」に見えますが、1つでもあれば即不合格です。

試験センターが公表している「欠陥の判断基準」を必ず確認し、自分の練習作品をその基準でチェックする習慣をつけましょう。

あるある3:複線図(ふくせんず)を書かずに感覚で配線する

「複線図を書く時間がもったいない」と、いきなり配線を始める人がいます。簡単な問題ならそれでも大丈夫ですが、スイッチが複数あったり、3路スイッチが出てきたりすると、途中で「あれ、この線どこに繋ぐんだっけ?」と迷い、やり直しで大幅にタイムロスします。

複線図は2〜3分で書けるようになります。この2〜3分が、後の37分をスムーズにしてくれる「保険」です。必ず書く習慣をつけてください。

合格するためのポイント ― 具体的な戦略

ここからは「じゃあどうすれば受かるの?」に、できるだけ具体的に答えます。

学科試験の攻略

1. 過去問は「5年分×3周」が黄金パターン

第二種電気工事士の学科試験は、過去問と同じ形式・同じ知識で解ける問題が全体の6〜7割を占めます。つまり、過去問を5年分しっかり理解すれば、それだけで合格ラインの30問に届く計算です。1周目は解説を読みながら、2周目は自力で、3周目は時間を計って。この3段階で定着させましょう。

2. 配線図と鑑別(かんべつ)は最優先

「覚えれば確実に取れる」分野を最優先にするのが効率的です。配線図と鑑別は暗記系の問題なので、図記号と器具の写真をセットで覚えれば安定して得点できます。ここで15〜20点を確保できれば、残りの分野で10〜15点取るだけで合格です。気持ちがかなり楽になります。

3. 計算問題は「基本の3公式だけ」でOK

オームの法則(V=IR)、電力の公式(P=VI)、合成抵抗の計算。この3つだけ使いこなせれば、計算問題で3〜5問は取れます。「捨てる」のではなく「基本だけ拾う」戦略です。

4. 勉強期間は1〜3ヶ月が目安

1日1時間の勉強で2ヶ月、1日30分なら3ヶ月。これが合格者の平均的な学習ペースです。「仕事しながらでもいけるな」と思えるラインではないでしょうか。通勤時間にスマホアプリで過去問を解くだけでも、積み重ねれば大きな力になります。

技能試験の攻略

1. 候補問題13問を「最低2周」練習する

本番はこの13問のうち1問が出題されます。1周目で全体の流れを把握し、2周目でスピードと精度を上げる。できれば3周目もやると、どの問題が出ても「あ、これやったな」と落ち着いて取り組めます。

2. 欠陥の判断基準を「先に」覚える

多くの人は「まず練習して、あとから欠陥基準を確認する」という順番で進めますが、これは非効率です。先に欠陥基準を頭に入れてから練習するほうが、最初から「何がダメなのか」を意識しながら手を動かせるので、変なクセがつきにくくなります。

3. 時間を計って練習 ― 目標は30分以内

本番は緊張で普段より5〜10分遅くなります。練習で30分以内に完成できていれば、本番で35〜40分かかっても間に合います。最初は45分かかっても気にしなくて大丈夫です。回数を重ねるごとに自然とスピードは上がります。

4. 工具と材料は「学科試験の前」に準備する

学科試験の合格発表を待ってから技能の準備を始めると、人気の工具セットが品切れになっていたり、届くまで1〜2週間かかったりして、貴重な練習期間を無駄にします。「学科はたぶん受かった」と思ったら、合格発表前に工具と材料を注文しておくのが賢い戦略です。

まとめ

  • 第二種電気工事士の合格率は、学科試験約55〜62%、技能試験約70〜74%
  • ただし記念受験組を除けば、しっかり準備した人の合格率はもっと高い
  • 学科は50問中30問正解で合格(20問も間違えてOK
  • 技能は候補問題が事前公表 ― 出題範囲が100%わかっている試験
  • 工業高校生が在学中に取る資格。文系・未経験でも3ヶ月あれば十分合格可能
  • 不合格パターンを知り、「過去問の理解」「配線図の暗記」「技能の早め準備」を押さえれば怖くない

合格率の数字は、あなたの合否を決めるものではありません。正しい手順で、必要な量の勉強をした人は受かる。それがこの試験の本質です。「国家資格は自分には無理」と思い込んでいた人ほど、合格したときの達成感は大きいはずです。ぜひ、第一歩を踏み出してください。

理解度チェック

最後に、この記事の内容が頭に入っているか確認してみましょう。

問題1

第二種電気工事士の学科試験は、50問中何問以上正解すれば合格になるでしょうか?

  • A. 25問以上(50%以上)
  • B. 30問以上(60%以上)
  • C. 35問以上(70%以上)
  • D. 40問以上(80%以上)
解答を見る

正解:B(30問以上)
学科試験の合格ラインは50問中30問正解(60%)です。20問まで間違えても合格できるため、全分野を完璧にする必要はなく、得意分野で確実に得点する戦略が有効です。

問題2

第二種電気工事士の技能試験について、正しい記述はどれでしょうか?

  • A. 制限時間は60分で、70点以上取れば合格
  • B. 制限時間は40分で、欠陥が2つ以内なら合格
  • C. 制限時間は40分で、欠陥がゼロなら合格
  • D. 制限時間は30分で、欠陥がゼロなら合格
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正解:C(制限時間は40分で、欠陥がゼロなら合格)
技能試験は点数制ではなく、欠陥の有無で合否が決まります。制限時間40分以内に作品を完成させ、欠陥が1つもなければ合格です。1つでも欠陥があれば不合格になるため、欠陥の判断基準を事前にしっかり把握しておくことが重要です。

問題3

学科試験の合格率は約55〜62%ですが、「きちんと勉強した人の実質合格率はもっと高い」と言われる理由として、最も適切なものはどれでしょうか?

  • A. 試験問題が年々やさしくなっているから
  • B. ほとんど勉強せずに受験する「記念受験」の人が平均を下げているから
  • C. 合格基準が以前より引き下げられたから
  • D. 受験者数が減って競争率が下がったから
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正解:B(記念受験の人が平均を下げているから)
第二種電気工事士は受験資格に制限がないため、「会社に言われてなんとなく申し込んだ」「テキストを買ったが開かなかった」という受験者も一定数います。こうした層が全体の合格率を押し下げています。テキストを1冊仕上げて過去問を数年分解いた人に限れば、合格率はかなり高くなります。なお、第二種電気工事士は絶対評価(60%で合格)なので、Dの「競争率」は合否に関係ありません。

問題4

技能試験で不合格にならないために、最も効果的な学習戦略はどれでしょうか?

  • A. 13問の候補問題のうち、予想した3問だけを集中的に練習する
  • B. 欠陥の判断基準を先に覚えてから、候補問題を2周以上練習する
  • C. 複線図は書かずに、配線のパターンを暗記して時間を節約する
  • D. 学科試験の合格発表後に工具を購入し、1周だけ練習する
解答を見る

正解:B(欠陥の判断基準を先に覚えてから、候補問題を2周以上練習する)
欠陥基準を先に把握してから練習すると、最初から「何がダメなのか」を意識できるため効率的です。Aは山を張るリスクがあり、Cは複雑な問題でミスを招きます。Dは準備期間が短くなりすぎるため危険です。工具は学科試験の合格発表前に注文しておき、練習時間を最大限確保しましょう。

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