施工方法

接地工事(アース)をわかりやすく解説!A種〜D種の違い|第二種電気工事士

結論から言います

接地工事(せっちこうじ)、いわゆる「アース」は、漏電したときに電気を大地に逃がして、人を感電から守る安全装置です。

洗濯機の裏側をのぞいたことはありますか? 緑色(または緑と黄のしま模様)の線が出ていて、コンセントの横にあるネジに接続するようになっていますよね。あれが接地線(アース線)です。

接地工事にはA種・B種・C種・D種の4種類があり、電圧が高い回路ほど接地抵抗値を低くする(=より確実に電気を大地に逃がす)のが基本ルールです。

第二種電気工事士の試験では、特にC種とD種がよく出題されます。この記事を読めば「どの機器にどの接地が必要か」「抵抗値の上限はいくつか」「省略できる条件は何か」がスッキリわかります。

そもそも接地(アース)ってなに?

接地=電気機器と大地を電線でつなぐこと

接地工事とは、電気機器の金属製の外箱(きょうたい:筐体)と大地を、銅線でつなぐ工事のことです。

ふだん電気は電線の中を流れていますが、機器の絶縁が劣化すると電気が外箱に漏れ出すことがあります。これが漏電(ろうでん)です。

アースがないとどうなる?

こんなシーンを想像してください。

アースなしで漏電が起きたら…
① 洗濯機の内部で漏電が発生

② 電気が金属の外箱に流れる

③ 何も知らずに濡れた手で洗濯機を触る

④ 電気が人の体を通って地面に流れる → 感電!

もしアース線がつながっていれば、漏れた電気は抵抗の低いアース線を通って大地に流れるので、人の体には流れません。電気は「抵抗の低い方に流れやすい」という性質があるからです。

さらに、アース線に大きな電流が流れることで漏電遮断器(漏電ブレーカー)が素早く作動し、回路を遮断してくれます。アースと漏電ブレーカーは「二重の安全装置」というわけです。

実は、アースをつないでいない家が多い

「うちの洗濯機、緑の線がぶらんとしたままだ…」という方、実は結構多いです。漏電ブレーカーがあるから大丈夫と思いがちですが、アースがあった方が漏電ブレーカーの動作が確実かつ高速になります。特に水回りの家電(洗濯機・食洗機・電子レンジなど)は必ずアースをつなぎましょう。

雷からの保護にもなる

接地には感電防止だけでなく、雷(かみなり)の異常電圧を大地に逃がす役割もあります。避雷器(ひらいき)にA種接地工事が施されているのはこのためです。

A種〜D種の比較テーブル

接地工事はA種・B種・C種・D種の4種類に分かれています。まずは全体像を一覧表で確認しましょう。

種類 接地抵抗値 使用場所の例
A種 10Ω以下 高圧・特別高圧機器の外箱、避雷器
B種 計算値(150/Ig) 変圧器の低圧側中性点(混触防止)
C種 10Ω以下
(※漏電遮断器ありなら500Ω以下)
300Vを超える低圧機器の外箱
D種 100Ω以下
(※漏電遮断器ありなら500Ω以下)
300V以下の低圧機器の外箱

※ C種・D種の「漏電遮断器あり」とは、動作時間0.5秒以内、感度電流が定格の範囲内の漏電遮断器が取り付けられている場合です。

覚え方のコツ:「電圧が高いほど危険 → だから抵抗値を低くして確実に逃がす」と理解すれば、A種(10Ω)< D種(100Ω)の大小関係が自然に頭に入ります。

各種の詳細解説 ― 現場ではどこに使う?

A種接地工事(10Ω以下)

対象:高圧(600Vを超える)・特別高圧の電気機器の外箱、避雷器(ひらいき)

現場でのイメージ:

  • 工場やビルにある高圧モーターの金属外箱
  • キュービクル(高圧受電設備)の外箱 ― ビルの裏側や屋上でグレーの金属箱を見たことがありませんか? あれです
  • ビルの屋上に設置された避雷器 ― 雷の異常電圧を大地に逃がすための太い銅線がつながっています

高圧は感電すると命に関わるため、接地抵抗はもっとも低い10Ω以下が求められます。

B種接地工事(計算値)

対象:高圧と低圧をつなぐ変圧器の低圧側の中性点(または一端子)

現場でのイメージ:

  • 電柱の上にある柱上変圧器 ― 丸いバケツ(またはドラム缶)のような形をしたやつです。6,600Vの高圧を100V/200Vに下げる役割があります
  • この変圧器の低圧側中性点にB種接地を施すことで、高圧側と低圧側が混触(こんしょく)した場合に、低圧側に異常な高電圧がかかるのを防ぎます

接地抵抗値の計算式:

B種接地抵抗 = 150 ÷ Ig(A)
Ig = 高圧側の1線地絡電流(A)

※ 1秒を超え2秒以内に遮断する場合は300÷Ig、1秒以内に遮断する場合は600÷Igと、遮断時間が短いほど抵抗値は緩和されます。

B種は唯一、計算で抵抗値が決まる接地工事です。試験では「計算値」であること自体を問われることが多いので、他の種類と混同しないようにしましょう。

C種接地工事(10Ω以下 / 500Ω以下)

対象:使用電圧300Vを超える低圧機器の金属製外箱

現場でのイメージ:

  • 三相400Vの大型エアコンやポンプ(工場・ビル)― 使用電圧が300Vを超えるため、C種が必要です
  • 工場の三相400Vコンプレッサーやベルトコンベアなどの動力設備
  • ビルの大型空調設備で三相400VのものにはすべてC種が施されています

漏電遮断器(動作時間0.5秒以内)が設置されていれば500Ω以下に緩和できます。

D種接地工事(100Ω以下 / 500Ω以下)

対象:使用電圧300V以下の低圧機器の金属製外箱

現場でのイメージ:

  • 100Vの洗濯機、冷蔵庫、電子レンジ、食洗機 ― 水回りの家電にはほぼ全てアース端子がついています
  • 単相200Vの家庭用エアコン ― 対地電圧は100Vなので300V以下。D種です
  • 三相200Vの動力機器(業務用エアコン等)― 使用電圧200Vで300V以下なのでD種
  • オフィスのパソコン、コピー機

D種は一番身近な接地工事です。第二種電気工事士の試験でも出題頻度が高いので、「300V以下 → D種 → 100Ω以下」は必ず覚えましょう。

こちらもC種と同様、漏電遮断器があれば500Ω以下に緩和できます。

接地工事の省略条件

すべての機器に接地工事が必要なわけではありません。一定の条件を満たせば、C種・D種の接地工事は省略できる場合があります。

省略できる主な条件

条件 内容
二重絶縁 二重絶縁構造の機器(記号:□の中に□)。金属の外箱に電気が漏れない構造のため接地不要
乾燥した場所 D種接地工事で、機器を乾燥した場所に設置する場合
絶縁台の上 低圧機器を乾燥した木製の床や絶縁性の台の上に設置する場合
対地電圧150V以下+乾燥 対地電圧150V以下で乾燥した場所に設置する場合

注意:A種・B種の接地工事は省略できません。高圧や変圧器に関わる重要な保護なので、必ず施工が必要です。

覚えるコツ

乾燥+低圧=省略OK」と大まかに覚えましょう。湿った場所は感電リスクが高いのでアース省略はNGです。これは実際の現場感覚とも一致します。洗面所やキッチンなどの水回りでは、たとえ100Vでもアースが必要ですよね。

二重絶縁の「□の中に□」マークも試験で問われることがあります。電動ドリルなどの電動工具で見かけるマークなので、覚えておきましょう。

接地線の太さ・種類

接地線にも最小太さの規定があります。太い接地線を使うほど電気が流れやすくなり、接地の効果が高まります。

種類 接地線の最小太さ
A種 2.6mm以上(引張強さ1.04kN以上)
B種 2.6mm以上(引張強さ1.04kN以上)
C種 1.6mm以上(引張強さ0.39kN以上)
D種 1.6mm以上(引張強さ0.39kN以上)

ポイント:A種・B種は2.6mm以上、C種・D種は1.6mm以上です。高圧に関わるA種・B種の方が太い線を使う、と覚えれば自然です。

接地線には緑色または緑と黄のしま模様の絶縁電線が使われます。これは国際的な共通ルールで、電気工事の現場で「緑色の線=アース」とすぐに判別できるようになっています。

試験での出題パターン

接地工事は第二種電気工事士の学科試験でほぼ毎回出題される重要テーマです。出題パターンは大きく3つあります。

パターン①「この機器に必要な接地種別は?」

「使用電圧200Vの三相電動機の金属製外箱に施す接地工事は?」→ D種接地工事(300V以下だから)

解き方のコツ:まず使用電圧を確認 → 300Vを超えるか否か → C種かD種か判断

パターン②「接地抵抗値の上限は?」

「D種接地工事の接地抵抗値の上限は?」→ 100Ω(漏電遮断器がない場合)

解き方のコツ:A種10Ω、D種100Ω、C種・D種は漏電遮断器ありで500Ω

パターン③「省略できる条件は?」

「D種接地工事を省略できるのはどれか?」→ 乾燥した場所に施設する場合

解き方のコツ:「乾燥+低圧」「二重絶縁」がキーワード。A種・B種は省略不可

まとめ ― 暗記テーブルで総復習

種類 接地抵抗値 接地線の太さ
A種(高圧・特高) 10Ω以下 2.6mm以上
B種(変圧器中性点) 150/Ig(計算値) 2.6mm以上
C種(300V超の低圧) 10Ω以下(※500Ω) 1.6mm以上
D種(300V以下の低圧) 100Ω以下(※500Ω) 1.6mm以上

※ C種・D種のカッコ内は、動作時間0.5秒以内の漏電遮断器が設置されている場合の緩和値

ここまでのポイントをまとめると、

  • 接地(アース)=漏電時に電気を大地に逃がす安全装置
  • 電圧が高いほど接地抵抗値を低くする(A種10Ω < D種100Ω)
  • B種だけが計算で抵抗値が決まる(150÷Ig)
  • C種・D種は漏電遮断器ありで500Ωに緩和
  • D種は「乾燥した場所」で省略OK、A種・B種は省略不可
  • 接地線の太さ:A種・B種は2.6mm以上、C種・D種は1.6mm以上

理解度チェック! オリジナル4択クイズ

【問題1】工場の三相400Vモーターにはどの接地?

ある工場で、三相400Vの電動機を新たに設置することになりました。この電動機の金属製外箱に施すべき接地工事の種類として、正しいものはどれか。

① A種接地工事
② B種接地工事
③ C種接地工事
④ D種接地工事

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正解:③ C種接地工事
三相400Vは使用電圧が300Vを超える低圧です。300Vを超える低圧機器の外箱にはC種接地工事が必要です。「400V > 300V → C種」と判断しましょう。もしこれが300V以下(例:三相200V)であればD種になります。

【問題2】接地工事を省略できるのはどの場合?

次のうち、D種接地工事を省略できるものはどれか。

① 水道のポンプ室に設置された使用電圧200Vのポンプ
② 乾燥したオフィスに設置された使用電圧100Vのコピー機
③ 地下の厨房に設置された使用電圧200Vの食洗機
④ 浴室に隣接した脱衣所に設置された使用電圧100Vの洗濯機

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正解:② 乾燥したオフィスに設置された使用電圧100Vのコピー機
D種接地工事は、乾燥した場所に設置する機器であれば省略できます。②は「乾燥したオフィス」+「100V(300V以下の低圧)」なので条件を満たします。①のポンプ室、③の厨房、④の脱衣所はいずれも水気のある場所なので省略できません。

【問題3】D種接地の抵抗値上限は?

使用電圧100Vの冷蔵庫の金属製外箱に、D種接地工事を施す。漏電遮断器が設置されていない場合、接地抵抗値の上限として正しいものはどれか。

① 10Ω
② 50Ω
③ 100Ω
④ 500Ω

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正解:③ 100Ω
D種接地工事の接地抵抗値は100Ω以下です。①の10ΩはA種(またはC種)の値、④の500ΩはC種・D種で漏電遮断器が設置されている場合の緩和値です。漏電遮断器がない場合のD種は100Ω以下と覚えましょう。

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